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    NIPTを受けた方・受けるかどうか考えている方へ

    2022.05.16

    NIPT(通称:新型出生前検査)は妊婦さんの血液で行う出生前検査の一つです。
    主に、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーを対象にしています。検査施設によっては全染色体の数的異常、微小欠失・重複なども検査対象となります。結果の信頼度や、調べる病気や症候群の範囲には限界があるため、陰性の場合も陽性の場合も、それぞれ注意点があります。




    NIPT陽性の場合




    NIPT陽性でも、赤ちゃんに異常がないこともあります。精度99%の検査と言われることが多いですが、それはダウン症候群陽性の結果であった赤ちゃん100人のうち、99人がダウン症候群という意味ではありません。
    赤ちゃんの染色体ではなく、妊婦さんの血液中に混ざっている胎盤の染色体情報を見る検査のため、単純に間違って陽性となることがあります。また、赤ちゃんと胎盤は基本的には同じ染色体情報を持ちますが、時々、胎盤のみがダウン症候群で、赤ちゃんはそうではないこともあります(胎盤限局性モザイク)(図)。
    NIPTの結果は診断には至らないため、赤ちゃんに染色体異常があるかを確認するためには、確定検査が必要です。

    妊娠中にできる確定検査の方法には
    ①絨毛検査(胎盤を調べる検査)
    ②羊水検査(赤ちゃんの尿検査)
    ③臍帯採血(赤ちゃんの血液検査) があります。

    【エコーで異常所見を認める場合】
    胎児ドックで赤ちゃんに特徴的な所見(例:ダウン症候群であれば、首のむくみが厚い・鼻骨が低形成・三尖弁に逆流があるなど)を認める場合には、赤ちゃんにも胎盤と同じように染色体異常があると考えて、妊娠11週から14週頃に絨毛検査を行うことができます。


    *イラストの、ドット(・)は染色体異常のある細胞を表します。
    上記の場合は、胎盤、羊水、赤ちゃんに染色体異常を認めます。



    【エコーで異常所見を認めない場合】
    胎盤のみに染色体異常があってNIPT陽性となっている場合があるため、胎盤を調べる絨毛検査ではなく、羊水検査または臍帯採血を16週以降に行います。



    確定検査の方法が異なる理由


    NIPTが陽性となる状況は全部で4パターンあります。

    NIPT陽性の場合に起こり得るパターン




    胎盤に
    染色体異常が
    あるか

    赤ちゃんに
    染色体異常が
    あるか

    エコー所見

    胎盤と
    赤ちゃんの状況

    適切な
    確定検査の方法



    1

    あり

    あり

    あり
    or
    時々なし

    染色体異常がある
    (真陽性)

    絨毛検査
    or
    羊水検査



    2

    正常と混在

    混在

    時々あり
    or
    なし

    正常と異常な細胞が
    混在する
    (モザイク)

    羊水検査
    or
    臍帯採血



    3-1

    羊水中に異常細胞があるかどうかの違い

    3-2

    あり

    なし

    なし

    染色体異常ではない
    (胎盤限局性モザイク)

    羊水検査
    or
    臍帯採血



    4

    なし

    なし

    なし

    染色体異常ではない
    (偽陽性)

    羊水検査
    or
    臍帯採血



    *何が陽性かにより、どのパターンが多いかは異なります。

    まず、胎児ドック(エコー)で赤ちゃんを詳しくみることにより、どのパターンであるかを考えます。
    考えられるパターンによって、確定診断の時期や方法が変わるため、一概に「16週を待って羊水検査をする」というものではありません

    *臍帯採血は、羊水検査で染色体異常をモザイクで認めた後に追加で行うこともできます。

    当院では、妊娠週数・NIPTの結果(何が陽性となったのか)・胎児ドックによる赤ちゃんの所見等のさまざまな情報から、検査の方法やタイミングを一緒に考えます。
    実施施設の少ない、臍帯採血も可能です。絨毛/羊水検査で染色体異常をモザイクで認めた場合にもご相談ください。





    NIPT陰性の場合




    NIPTは、生まれつきの病気や症候群の一部(およそ17%)を対象としており、心臓病や無脳症などの形や機能の異常はわかりません。そのため、NIPT陰性の場合でも、NIPTで確認していない形態異常や症候群を調べるために胎児ドックを追加で行う意味は十分あります。
    NIPTと胎児ドックはどちらがいいというわけではなく、得意なところが違うため、どちらも受けることにより、より多く生まれつきの病気や症候群に気づくことができます。


    NIPTと胎児ドックの対象



    検査対象
    NIPT
    胎児ドック
    (妊娠初期・中期・後期受けた場合)

    21・18・13トリソミー

    (コンバインドテストの時)

    全染色体数的異常
    (21・18・13トリソミー以外)

    ※基本は出生に至りません

    微小欠失・重複

    ※まだ精度は確立していません

    頭・脳
    ×

    脊椎
    ×

    顔・首
    ×

    心臓
    ×

    ×

    腹壁
    ×

    膀胱・腎臓
    ×

    手足
    ×

    胎盤・臍の緒
    ×

    費用
    施設により異なる
    おおよそ¥200,000前後
    当院:¥99,000
    (コンバインドテスト+¥22,000)



    また、NIPTの実施施設によっては21・18・13トリソミー以外も対象に含まれます。
    当院では、事前の遺伝カウンセリングでNIPTの検査範囲について整理した上で、胎児ドックを行います。